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"Light Rocks" Diary

"Light Rocks" Diary

2020年9月25日

気分が晴れないとき、内面にはいくつかのしこりのようなものが、異物として存在感を主張しているように感じられます。そんなとき、高い崖のうえから、異物感が醸し出す不穏な世界を俯瞰するような景色を思い描くことで、濁った空気を入れ替えようと空想したことがありました。その空想はさらにいくつかのシーンへと続いたのですが、後日それを視覚化してみようと思い立って描きはじめたのが、この"Light Rocks"です。
この絵では、崖のうえに人らしき姿がみえています。けれど彼らがなにをみているのかは、こちらから窺い知ることのできない構図になっています。これは絵から想像が始まるちょっとしたトリガーになれないかと期待したのと、今回の空想の主題が険しい岩肌のテクスチャーにあったからでした。
ごつごつした岩肌は、軽やかなテキスタイルのような模様や色彩を宿しています。これは中盤に差し掛かった空想で登場したモチーフでした。本来重苦しい岩壁が軽やかに変化するというそのシーンは、この当時の不穏な心象を塗り替えるのを助けてくれました。すべての蟠りをなくすことはできなくとも、何らかの対処法によって異物感を和らげることはできるということと、その対処法に空想というものもアリなのだと気づかされた瞬間でした。
心を引きずられる妄想は途絶えることはなく、また唐突にやってきたりもします。しかしそれを空想で押し返してやることで、すこしだけ軽やかになったような気持ちを生み出したいと思っています。それがこの模様や色彩、そして景色全体を生み出す原動力になりました。しかし、いつもうまくいくわけではないのが難しいところです。
それで思うのは、軽やかさは、ある種の錯覚でもいいのではないかということです。一時、一瞬だけでも、妄想の悪循環から離れ、自分の世界を取り戻すことが何より大切なのだと思っています。