Atsushigraph

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  3. Living Things

Living Things

Living Things

Trust(2020)

Operation(2020)

うつつのゆめ(2019)

Dialogue(2019)

Cleft(2020)

盾(2019)

Thorns(2020)

Tempest(2020)

二月の背中(2020)

幾度となく襲いかかる苦難の狭間で、いまここに生かされている無常観にもとづいて、このLiving Thingsは形作られています。
世界は混沌の度を増し、時に辛辣な体験をわたしたちにもたらすことがあります。けれども、その状況に置かれてもなお、この世界に生かされている事実から、一瞬の幸福が頭のなかをかすめてゆきます。その後には「それは綺麗事だ」と言わんばかりの困難が押し寄せますが、変わりゆく世界の無常を感じることで、受け入れようとしてきた生活がありました。それがこのシリーズには反映されています。無常観は、感傷などでは決してなく、世界の摂理として自然に心身に馴染むようなものです。使い古された希望の言葉よりも、真理を突いているような、リアリティと確かさがあるような気持ちにさせ、信じさせてくれます。絵をつくることでその摂理に近づき、そして湧き上がる思いを何度も反芻して、つよく気持ちを保とうとしてきた蓄積が、このシリーズの芯をつくりました。

本作では、無常を思い見つめる主体として、「衆生」にフォーカスします。衆生とは、こころを持つすべての存在の意味があります。多くは「人間」や「人々」の意味で使われ、本作でもその意味を前提としています。しかしそれだけでなく、自然や、宇宙や、社会の諸現象も、すべてをこころあるいのちと捉えたら、という荒唐無稽ともいえる壮大な空想をしたことがありました。その空想は、やがて原初的な宗教観=アニミズムともかさなることを知ります。それを機に奔放な想像を肯定して、すべてをこころあるものに収斂させる世界観へと繋げていきました。拡張された衆生の世界観を中心的な物語に、それを間接的に、含みや幅をもって描き出した絵が、ここには多数収められています。それぞれにいのちがあり、生活があり、生きてゆく逞しさと生かされている無常が、仮定の空想から湧き上がっていきます。それは風景にもなり、ある時は抽象画にもなり、整然とした図案にも姿をかえます。
いくつもつくられる絵には、どれに対しても通底する思想があります。それは、生きていることの姿がそれぞれに異なっていて、そのどれもが今後も変わっていく仮の解であるということです。かけがえのない変化の形を、衆生の名を冠して静謐に描くなかで、無常観の扉をゆっくりとひらく31篇です。


このフォトコラージュはリトルプレスのZINEやジークレープリントとして、2020年年末から展開される予定です。