Linne
Graphic Art Series
year : 2018 - 2019
私たちは異常気象のただなかに生きています。しかし、その存在から一歩俯瞰して、自然界のサイクルへまなざしを向けることからこの"Linne"の制作ははじまりました。自然災害の絶えない昨今、ひとは「定まらなさ」のなかで生きなければならないとも語られるなか、そうした不安定な世界のなかでひとが生きて死ぬとはどういうことなのか。そんな問いかけが、科学的解釈をとおした自然現象の探求へと誘っていきました。たとえば物理学は、命を落とした生命が、素粒子にまで分解され、その後別なものへリサイクルされるという営みを語ってくれます。それはまるで流転や循環とも受け取ることができ、この世界のなかで連鎖しあっていないものはないという気づきをもたらします。この"Linne"Seriesは、すべてのものにいのちを見いだすように、描き出しています。悠久の時をこえた死生の営みに畏敬の念を抱き、物質のリサイクルに思いを巡らす。そうした断想が根底に流れています。
『いまのわたしになるまでに、素粒子が辿ってきた、膨大な死生をおもう。どこかで別れようとも、またどこかで再会するだろう。それが物質であろうとも、いのちあるものであろうとも。』
- ZINE"Linne"あとがきより
"Linne"Seriesのうち、作品"Birthday"が、第2回日本財団DIVERSITY IN THE ARTS公募展で佳作に選出されました。