"Scribble" Diary
2021年4月24日
この絵は写真とCGを組み合わせて、手で描かずとも線の表情を出すことを試みたものでした。自宅にあった太いボーダー柄のタオルに、フェルトペンで描いた線のような力強さを感じたことが、この手法の起点となりました。それはしわになると歪みが生まれ、迷いながら何かに抗っているような姿にさえ感じられました。
そんな線の表情を写真に収め、コラージュし、CGオブジェクトにマッピングしていくことでこの景色が構成されます。歪みと力強さを併せ持ったこの線がつくる景色には、スクリブル(=殴り書き・走り書き)の名をつけました。手を使って描かずとも、すでにある物の表情から感じ取れる、線の存在感と愚直さのような印象を、翻訳しようとして名づけています。
タオルのボーダー柄だけでなく、私たちの暮らしの中にある物には、何らかの表情をみつけることができると思います。それがどんなもので、何を物語っているか、気づくことが想像のひだを刺激し、外にある現実との往来を実現させるように感じられます。内面にばかり籠もることなく、ほどよく内と外が繋がり合う風通しの良さが大切なのかもしれないと思っています。
text by Atsushigraph