Collect the Textures 日常の質感をあつめて。
STORIES ISSUE #3
2022年11月26日
日常の風景には、ひとの意識を刺激する質感が散りばめられています。普段は景色に埋もれて気づかない質感に気づく瞬間から、思いがけないグラフィックや景色との出会いが始まっています。
3回目となるStoriesでは、日常の質感の収集というプロセスをとおして、Atsushigraphのグラフィックがどんな制作過程を辿ってきたのかを振り返ります。
〈 gemとレモンティー 〉
今年アートパラ深川おしゃべりな芸術祭2022にて、協賛企業賞を受賞しましたグラフィック「gem」。この作品のクリエーションにはレモンティーを注いだグラスの写真が欠かせませんでした。
レモンティーとグラスが、幾重にも光を屈折して、揺らぎある重層的な輝きを演出しています。レモンティーを飲みながら一息ついているとき、このうつくしさを何かに活かせないかと思い立って、そっと確かめるようにシャッターを切りました。でもすぐには使い道を決められず、約1ヶ月間寝かせることとなったのです。gemの景色が手を動かす中で次第に浮き彫りとなってきたとき、この写真は日の目を見ることとなりました。3Dの球体へのコラージュをとおして、gemの澄んだ景色が確かな手応えをもって描き出されました。
レモンティーで一服していた時間と、グラフィック制作の衝動が結びついたこの出来事は、いつどこで創作の種が芽吹くかわからないことを物語っています。
〈 反射板の煌めきに魅せられて 〉
2022年11月、盛岡での展覧会で初めてお目見えしましたキャンバスプリント「nourishment(ナリッシュメント)」。大きな巨像が光を煌めかせている風景を写真と3DCGをとおして描き出したグラフィックです。この巨像の煌めきは、もとは反射板の輝きでした。車道と歩道を隔て、道路に等間隔に並ぶポールに埋め込まれた反射板を写真に撮り(ページトップ画像および上図写真)、その画像を3Dオブジェクトの表面にコラージュして描写されています。
この反射板、その名のとおり見る角度によって光を反射し、七色の輝きが多彩に変化するので、心を奪われ何枚もしゃがみながら撮り直しをしていたことを思い出します。通行人には不自然に見えていたことは必至ですが、そういう他人の視線に萎縮することなく能動的に動ける心持ちでいられたことは、ある意味幸いだったと思います。なぜならこの景色を、ソフトウェアには備わっていないテクスチャとして作品に生かすことができたのですから。
〈 日常にあるもので描き出す 〉
最後は2021年初夏からOnline Storeに並び始めましたグラフィック「Scribble」。このグラフィックはタオルのボーダー柄を撮影した写真(上図写真)がテクスチャに使われました。一見するとぱっとしない、平凡な写真ではありますが、この白のラインがテクスチャとして貼り付けたときに、強くタフな質感を醸し出してくれるのではないかという予感がありました。その予感は、色彩をモノトーンにすることで顕になりました。歪み、滞りながらも無骨につづく線。その線の表情が日常のテクスチャをとおして描き出せることの発見と愉しさを感じていました。
これらの作品は、盛岡での展覧会でSOLD OUTとなった gemを除いて、すべてOnline Storeにてお取り扱いがございます。この機会に、日常と想像を共存させた景色を、キャンバスプリントをとおしてご覧いただけましたら幸いです。
〈 2023-11-21 更新 〉
現在このStoriesにてご紹介いたしました作品のキャンバスプリントは、販売を終了しております。予めご了承くださいませ。
〈 仕様 〉
● キャンバスプリント gem
キャンバスプリント Scribble
サイズ:F8号(幅 45.5 cm × 高さ 38.0 cm × 厚さ 1.8cm)
用紙:麻100%キャンバス生地
支持体:木製キャンバス枠(桐材)
加工:UVインクジェットプリント
内容品:キャンバスプリント作品 ×1
生産国:日本
エディション:Open Edition(限定部数を設けない作品)
キャンバス裏面に直筆の作家サイン入り
各 ¥19,000(税込)
● キャンバスプリント nourishment
サイズ:F20号(幅 72.7 cm × 高さ 60.6 cm × 厚さ 1.8cm)
用紙:麻100%キャンバス生地
支持体:木製キャンバス枠(桐材)
加工:UVインクジェットプリント
内容品:キャンバスプリント作品 ×1
生産国:日本
エディション:Open Edition(限定部数を設けない作品)
キャンバス裏面に直筆の作家サイン入り
¥44,000(税込)