"Mining Site" Diary
2020年12月6日
もともと別な絵を描こうとした際に、横道に逸れて感情の赴くままに描き始めたものが、このMining Siteでした。いくつもの壁が重層的に広がる風景は、採掘場になぞらえています。それは、たくさん掘り過ぎて閉山となった採掘場です。寂れてかつての活気を失った空気が漂ってくるなかで、救いを求め描いたものが手描きの線でした。おびただしい数の線は、群れとなってあちこちに住み着き、また飛び回っては遊びます。そこにはかつての生き生きとした採掘場の空気が広がります。そしてその一部始終を見つめる象徴に、一人の人間の姿を加え、この絵が生まれました。
この絵はどんなに窮地に立たされ、また衰退し忘れ去られても、ふとしたきっかけや、偶然の巡り合わせで別な展開が広がる瞬間に想いを寄せます。わずかでもそうした偶然性があると、信じるマインドが描かせたものであるようにも感じられ、手厳しい現実に期待してみる心持ちを絵のなかに見いだしています。
text by Atsushigraph