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Light Rocks

year : 2020 - 2024
style : 3dcg, collage, painting
series : Living Things
format : Giclee Print (Wooden Panel)
size : A3 (W 42cm × H 29.7cm × D 2.3cm)
edition : Open

Atsushigraphのアートワーク Light Rocksの作品画像です。

2020年のある夏の日、私は心の奥底に蟠りを抱えていました。そしてそれが、長年患う統合失調症の症状からくる不穏であるという自覚もありました。そんなとき、この重苦しい心境に寄り添い、それが少しずつ軽くなっていくようにと、服薬だけに留まらず、一人静かに空想を働かせ始めたことがありました。この「Light Rocks = 軽い岩」と名付けた絵は、そうした空想の変遷を、あとになって再現したいという思いのもとに生まれた絵です。

その空想の効果は、一時的なものではありましたが、ほんの一瞬、心が軽くなったかのような心境を疑似体験することが叶いました。その清涼感を大切に描いたグラフィックについて、今から訥々とですが、ご案内させていただきます。

Light Rocksは軽い岩であり、かすかな安堵のような光の岩です。

絵を言葉で描く

Atsushigraphの木製パネルジークレー版画 Light Rocksの作品画像です。この写真は表面を捉えた画像です。
Atsushigraphの木製パネルジークレー版画 Light Rocksの作品画像です。この写真は表面を捉えた2枚目の画像です。

蟠りがはびこる精神を、
軽やかな模様と色彩で
塗り替えていく。

ごつごつした
歪な岩場が纏う清涼さを、
コラージュやペインティングを
取り入れながら
築き上げていく。

岩を横切る鳥たちも
時間の経過の象徴のように
困難をちいさな羽に乗せ
運んでいって
くれることを願う。

空想の峰へと登りつめる
プロセスが変えるのは、
ひとの心象。
それを切り取り、
現実世界へ連れ出したい。

軽やかさは、ある種の錯覚でもいい

この絵が生まれるまでのストーリー

Atsushigraphの木製パネルジークレー版画 Light Rocksの作品画像です。この写真は側面を捉えた画像です。

気分が晴れないとき、内面にはいくつかのしこりのようなものが、異物として存在感を主張しているように感じられます。そんなとき、高い崖のうえから、異物感が醸し出す不穏な世界を俯瞰するような景色を思い描くことで、濁った空気を入れ替えようと空想を始めたことがありました。その空想はさらにいくつかのシーンへと続いたのですが、後日それを視覚化してみようと思い立って描きはじめたのが、この"Light Rocks"です。

この絵では、崖のうえに人らしき姿がみえています。けれど彼らがなにをみているのかは、こちらからは窺い知ることのできない構図になっています。これは絵から想像が始まるちょっとしたトリガーになれないかと期待したのと、今回の空想の主題が険しい岩肌のテクスチャーにあったからでした。

ごつごつした岩肌は、軽やかなテキスタイルのような模様や色彩を宿しています。これは中盤に差し掛かった空想で登場したモチーフでした。本来重苦しい岩壁が軽やかに変化するというそのシーンは、この当時の不穏な心象を塗り替えるのを助けてくれました。すべての蟠りをなくすことはできなくとも、何らかの対処法によって異物感を和らげることはできるということと、その対処法に空想というものもアリなのだと気づかされた瞬間でした。

心を引きずられる妄想は途絶えることはなく、また唐突にやってきたりもします。しかしそれを空想で押し返してやることで、すこしだけ軽やかになったような気持ちを生み出したいと思っています。それがこの模様や色彩、そして景色全体を生み出す原動力になりました。しかし、いつもうまくいくわけではないのが難しいところです。それで思うのは、軽やかさは、ある種の錯覚でもいいのではないかということです。一時、一瞬だけでも、妄想の悪循環から離れ、自分の世界を取り戻すことが何より大切なのだと思っています。

ジークレーになったLight Rocks

ジークレー版画としての特徴とこだわり

Atsushigraphの木製パネルジークレー版画 Light Rocksの作品画像です。この写真は全体像を捉えた画像です。

本作はこのたび木製パネルのジークレー版画として製作いたしました。Light Rocksをジークレー版画に製作する際、大切にしたのが素材選びです。印刷される用紙には何がよいのか、検討を重ねました。最終的に、ドイツのトップブランド "ハーネミューレ"社の高級フォトペーパー「Photo Rag」を採用し、木製パネル水張り加工を施して仕上げることにしました。この用紙は写真用紙ではあるのですが、一般的な光沢紙や半光沢紙とは異なり、テクスチャーのないなめらなかでマットな面質が特徴です。一見すると、ファインアート紙のような穏やかな風合いなのです。その面質が、落ち着いた雰囲気を演出してくれます。それだけでなく、Light Rocksの静謐な世界観を、写真用紙ならではの鮮やかさで細部まで表現できるようにもなりました。

また、本作は木製パネル張りの作品ですが、約400グラムと軽量で、A3のサイズ感とも相まって飾りやすいのが特徴です。本体の厚みは2.3センチで、壁に飾れば少し浮かび上がるような印象になります。なお本作は、限定部数を設けない「オープンエディション」にて製作され、本体裏面には壁掛け紐が付属しています。ジークレー版画になったLight Rocksは、Atsushigraphのオンラインショップよりプレオーダーという形でご購入いただけます。プレオーダー受付期間や配送日程などは、オンラインショップにてご確認いただくことができます。


text by Atsushigraph

Preorder

History

この作品にまつわる来歴を
年代ごとにご覧になれます。

2024

--- Light Rocksが個展「Recovery」にて展示されました。
Atsushigraphによる個展 Recovery の展示風景画像です。

2022

--- Light Rocksが個展「Inner Silence」にて展示されました。
Atsushigraphによる個展 Inner Silence の展示風景画像です。

2020

--- この年、作家直販のオンラインショップ「Atsushigraph Graphic Arts Store (STORES)」のオープンにあわせ、Light Rocksが同ショップにて取り扱い開始されました。
Light Rocksに関連するお知らせ
いまのところお知らせはございません。
Recommended Works
Information
この作品をつくったひと

Atsushigraph

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